成年後見ADULT GUARDIANSHIP
成年後見制度
成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害等の理由で判断能力の不十分な方々の権利や財産を守り、本人の意思を尊重した生活ができるよう保護、支援する制度です。
超高齢化社会であることや、制度が認知されてきたこと等から、利用者数は増加傾向にあります。
超高齢化社会、核家族化など、現代社会の構造の中で、判断力が低下した方を保護、支援するための成年後見制度は非常に重要な役割を担うものであり、当事務所では、後見問題にも積極的に取り組みたいと考えています。
最近判断能力が低下してきたと感じるご本人からでも、また身の回りでそういった方に関わっておられるご家族の方でも構いません。
是非お気軽に、ご相談ください。
成年後見制度の支援の対象者
成年後見には、後見、保佐、補助の3類型があります。
わかりやすい言葉で言えば、
後見とは、日常的に必要な買い物も自分一人ではできない程度の判断能力の方
保佐とは、日常的な買い物は一人でできるが、不動産や自動車の売買、自宅の増改築、お金の貸し借りなど、重要な財産行為は自分でできない程度の判断能力の方
補助とは重要な財産行為も一人でできるかもしれないが、不安があるので本人のためには援助が必要という程度の判断能力の方を対象としています。
相談事例
判断能力が低下した場合のお困りごととして、次のような相談が寄せられます。
ある日突然、夫の口座が凍結され使えなくなってしまった・・
施設に入ったほうがいいはずだけど、妻が理解してくれない・・
自宅を売却したいのに、名義人である父の判断能力が落ちたため手続きが進まない・・
父には債務があるようだけど、本人も理解しておらず全体像がつかめない・・
突然、亡祖父の債権者から母宛に請求書が届いた・・
訳もわからず健康食品をたくさん買っちゃったけど、どうにもならないの?
母のお金が日に日に減っていくけど用途がわからない
こういった場合には、成年後見制度を利用することで、解決するかもしれません。
例えば、後見人等がつくことで、
ご本人の口座の凍結を解除し、お金を下ろして生活費に使うことができる
施設に入るための契約をして、ご本人の入所を促す
必要性に応じて不要になった自宅を売却して、ご本人の生活費を捻出する
負債を調査して、弁済、整理、破産など必要な対応を行う
放置していた相続問題を整理する
ご本人に不利となる契約を無効にしてお金を返してもらう
ご本人のお金が勝手に使われたり騙し取られたりしないよう適切に管理する
ことが可能になります。
厚生労働省の平成29年の統計では、後見申立のきっかけとして、預貯金等の管理・解約が最も多い件数となっており、その他に身上監護、介護保険契約、不動産の処分、相続手続などが挙がっています。
後見人をつけるためには
後見人は、裁判所が選任します。
まずは、本人、配偶者もしくは4親等内の親族の方が、裁判所に後見開始審判の申立をしなければなりません。
申立の資料は多岐にわたります。
一部を挙げますと、
- 診断書(裁判所所定の書式)
- 申立書
- 本人及び申立人の戸籍謄本
- 本人及び後見人候補者の住民票又は戸籍の附票
- 本人の登記されていないことの証明書
- 親族関係図
- 本人の財産目録
- 財産目録の各財産を示す書類の写し(通帳や生命保険,不動産,債務など)
- 本人の健康状態を示す書類の写し(各種手帳など)
- 本人の家計収支表
など
これだけの資料ですから、準備だけで多くの時間を費やします。
仕事などをしながらとなると、集めている間に本人の状況が悪化したり、また問題が複雑化してしまうことも少なくありません。
弁護士に依頼することで、必要な資料を弁護士が整理し、迅速に申立を行い、可能な限り本人の利益を守ることができます。
他の制度との区別
成年後見制度に似た制度として、家族信託や財産管理契約、任意後見、遺言などがあります。
これらは、成年後見制度と違い、判断力があるうちに事前に備えるため制度ですが、裁判所の監督の有無や、公正証書の必要性、効力の発生時期などそれぞれ違いがあります。
詳しくはご相談ください。